宝くじ売り場ののぼりや、財布の広告でよく見かける「一粒万倍日」。なんとなく縁起の良い日らしい、というところまでは知られていますが、なぜその日が選ばれているのか、何をすると良いとされているのかまでは意外と知られていません。この記事では、一粒万倍日の意味と由来、日付の決まり方、そして昔から伝わる過ごし方の目安をまとめます。
一粒万倍日の意味
一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)は、「一粒の籾(もみ)が万倍にも実る稲穂になる」という言い伝えに由来する吉日です。読んで字のごとく、小さな種が大きな実りになる日。そこから転じて、「この日に始めたことは、後に大きく育つ」とされています。
もともとは選日(せんじつ)と呼ばれる暦注のひとつです。暦注とは、昔の暦に書き添えられていた運勢や吉凶の注記のことで、六曜や九星などもその仲間にあたります。一粒万倍日は江戸時代の暦にも登場する歴史のある暦注ですが、現代のように「開運日」として広く話題になったのは比較的近年のことです。
日付はどうやって決まるのか
一粒万倍日は、節切り(せつぎり)の月と日の干支(えと)の組み合わせで決まります。
節切りとは、二十四節気で月を区切る数え方です。カレンダーの1日ではなく、立春や啓蟄といった節気の日を月の始まりとします。たとえば節切りの1月は、おおむね立春から啓蟄の前日までです。二十四節気そのものについては二十四節気とはの記事で詳しく解説しています。
そのうえで、節切りの各月に対して「この干支の日が一粒万倍日」という対応表が伝わっています。たとえば節切り正月なら丑の日と午の日、というように月ごとに2つの日の干支が割り当てられており、干支は12日周期で巡ってくるため、一粒万倍日はひと月に4回から7回ほど訪れます。天赦日のように年数回しかない吉日と比べると、かなり身近な吉日といえます。
なお、この対応表には流派や暦書による細かな違いがあり、市販のカレンダーや暦のサイトによって日付が1日前後することがあります。当サイトでは節切りの判定を「節入り日はその日全体を新しい節月に含める」規則(当日24:00・日本時間の太陽黄経による機械判定)で行っており、算出基準はこのサイトについてで公開しています。
やると良いとされていること
「始めたことが万倍に育つ」という由来から、何かをスタートさせることに向いた日とされています。昔からよく挙げられるのは次のようなことです。
- 仕事始め・開業・開店 — 事業が大きく育つように
- 財布の新調・使い始め — 入れたお金が増えるように
- 銀行口座の開設・貯金の始め — 種銭が万倍になるように
- 習い事や勉強の開始 — 努力が実を結ぶように
- 結婚・入籍・プロポーズ — 幸せが末永く続くように
- 種まき・植え付け — 由来そのままの農事
いずれも「効果が保証されている」わけではなく、あくまで昔からの言い伝えです。ただ、「区切りの良い日に始める」こと自体には、気持ちを切り替えたり、始めた日付を覚えやすくしたりという実用的な良さもあります。
避けたほうが良いとされていること
万倍に増えるのは良いことだけではない、という考え方から、次のようなことは避けたほうが良いとされています。
- 借金・ローンの契約 — 借りたものが万倍に膨らむとされるため
- 人からお金や物を借りること
- 喧嘩や愚痴、人の悪口 — 争いの種も万倍になるとされるため
また、一粒万倍日が「不成就日(ふじょうじゅび)」と重なる日は、吉日の力が弱まる、あるいは打ち消されるとする考え方もあります。当サイトの吉日カレンダーでは不成就日も同じ表に載せているので、気になる方は合わせて確認してみてください。
天赦日と重なる日は特別
一粒万倍日どうしの重なりよりも注目されるのが、天赦日との重なりです。天赦日は暦の上で最上の吉日とされ、年に数回しかありません。その天赦日と一粒万倍日が同じ日になると、「最強の開運日」としてメディアでも取り上げられることが多くなりました。天赦日の仕組みと年間の日付は天赦日とはの記事にまとめています。
まとめ
一粒万倍日は、一粒の籾が万倍に実るという言い伝えに由来する吉日で、節切りの月と日の干支の組み合わせで決まります。ひと月に4〜7回ほどと登場回数が多いので、「今日が一粒万倍日だから何かを始めてみる」くらいの軽い付き合い方がしやすい暦注です。今月の一粒万倍日は吉日カレンダーで確認できます。暦注は伝統的な俗信であり効果を保証するものではありませんが、新しい一歩のきっかけとして、うまく暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。

